男性泌尿器の病気
前立腺肥大
男性の尿道の奥を囲う前立腺は、通常は栗の実くらいの大きさですが、年齢を重ねるとともに大きくなります。尿道を抑え込み、尿の出を悪くさせるほど大きくなった状態を、前立腺肥大といいます。
症状
尿の切れが悪くなる、排尿後に尿道が閉まらない、残尿感といった症状があらわれます。尿道に尿が溜まり、排尿後着座した際に尿漏れする、夜間に排尿頻度が増えることなども前立腺肥大の特徴です。
前立腺がん
尿道の奥にある前立腺の細胞が、正常な細胞増殖機能を失い、自己増殖することにより発症します。進行は比較的遅く、早期に発見することで治癒することが可能です。リンパ節や骨に転移することもあります。
症状
早期の段階では症状がほとんどありません。進行すると、尿が出づらい、頻尿、血尿といった症状があらわれます。前立腺肥大と共通する症状が多いため注意が必要です。また、骨に転移した場合、腰痛など痛みを感じることもあります。
膀胱がん
下腹部にある膀胱は尿を溜め込む袋の役割があります。この中にできる腫瘍が膀胱がんです。50代以上の男性に多く発症するがんで、喫煙もそのリスクを高めるといわれています。
症状
はっきりと確認できるほどの血尿が出ます。また、排尿時の痛みや違和感、頻尿など、膀胱炎と同様の症状から発見されることもあるほか、尿検査により判明することもあります。
尿路結石症
尿内の結晶成分をもとに形成されるのが尿路結石です。小さな結石は尿と同時に体外に放出されますが、腎杯や腎盂内の結石は大きくなり尿管が詰まることもあります。結石のできる位置に応じて、腎結石、尿管結石、膀胱結石などと呼ばれます。
症状
腎臓内に結石があれば症状はありませんが、尿管内に落ち、詰まることで腰や下腹部に急激な痛みを感じます。安静にしても治らず、同じ姿勢で寝ることもできなくなる上、結石が膀胱に近づくほど、尿が近くなる、残尿感といった症状もあらわれます。
包茎
陰茎を包む皮が狭く亀頭が露出できない状態のことを真性包茎、包皮を剥くだけで亀頭が露出できる状態のことを仮性包茎といいます。
症状
ごくまれに腫瘍を併発することがあるため、亀頭がどうしても露出できないときは泌尿器科専門病院を受診しましょう。仮性包茎については心配ありません。
血精液症
精子に血が混ざる血精液症は、前立腺炎、前立腺がんが原因であることが考えられます。
症状
精液の色が真っ赤またはピンク色になります。また、赤黒い微かな点々が混ざることもあります。
前立腺炎
急性前立腺炎は、尿に含まれる細菌が前立腺に感染した状態です。慢性前立腺炎も細菌によるものですが、中には原因がわからないものや、骨盤内の血液循環障害に起因するものもあるといわれています。前立腺肥大や前立腺がんと併発することもあります。
症状
急性の場合、発熱、排尿時の痛み、頻尿を伴い症状が重いのが特徴です。慢性の場合、排尿時の痛みや陰部の不快感がしばらく続きます。精巣上体炎の併発や、膀胱結石の影響で発症することもあるため注意が必要です。排尿時の異常を感じたらすぐに受診しましょう。
膀胱炎
尿道口から大腸菌などの細菌が膀胱に入り込み、炎症が起こった状態です。女性に比べ男性が発症することは少ないですが、前立腺に細菌が感染することで、膀胱炎と尿道炎が繰り返し引き起こされることもあります。
症状
排尿時の痛みや違和感、頻尿、濁った尿が主な症状です。そのほか、残尿感や血尿といった症状があらわれることもあります。
尿道炎
性交渉により淋病またはクラミジアに感染して発症します。淋病性尿道炎は性交渉から3日~1週間で、クラミジア性尿道炎は性交渉から1~2週間で発症するといわれています。淋病は、風俗店でのオーラルセックスによる感染者が急増しています。
症状
かゆみ、排尿時の痛み、膿が出るといった症状があらわれます。淋病の方が症状は重く、クラミジアは気付かないまま経過していくケースもあります。
腎盂腎炎
腎臓の中にある尿が溜まる部分を腎盂(じんう)といい、その内部に細菌が増殖し、炎症が腎臓までおよんだものを腎盂腎炎と呼びます。尿道口から入った細菌は、通常排尿で体外に放出されますが、前立腺肥大や尿路結石により尿の流れが悪いと発症しやすくなります。
症状
発熱、排尿時の痛みや違和感、頻尿、濁った尿、腰痛、背中の痛みが主な症状です。吐き気、寒気、全身倦怠感もあらわれます。お子さんや高齢者が重症化した場合、脱水症状による意識障害、細菌が全身に広がることで生死に関わる事態にもつながるため注意が必要です。
精巣上体炎
細菌が尿道から精管を通過し、精巣上体まで達して増殖、炎症を引き起こした状態を精巣上体炎といいます。前立腺炎、膀胱炎などで尿が汚れて細菌が増えることや、尿道炎の原因である淋菌やクラミジアによって精巣上体炎が起こりやすいとされています。
症状
精巣を包む突出した部分(陰嚢部)の痛み、腫れ、発熱、排尿時の痛みが主な症状です。精巣上体炎は急性であることがほとんどです。