女性泌尿器の病気
尿失禁
自分の意に反して排尿してしまうことを尿失禁といいます。女性の3~4人に1人が尿失禁の経験があるといわれており、日常生活に不快感、不自由さをもたらす病気です。周囲への相談ができず放置されることも多い尿失禁ですが、実際には治療が可能です。
尿失禁は「過活動膀胱」と「腹圧性尿失禁」に分けられます。
過活動膀胱(切迫性尿失禁)
トイレに間に合わず漏れてしまうのは、過活動膀胱によるものです。ほかにも急激な寒さ、冷水での手洗い時などに漏れることがあります。膀胱が勝手に収縮して小さくなり、尿が漏れてしまう状態です。
腹圧性尿失禁
咳やくしゃみ、スポーツなどで激しい動きをしたときに漏れてしまうのは、腹圧性尿失禁です。お腹に圧力がかかったとき、尿道が膣側へ下がってしまうことで尿道が開き、漏れてしまう状態です。
膀胱炎
尿道口から大腸菌などの細菌が膀胱に入り込み、炎症が起こった状態で、男性に比べ女性が発症することの多い病気です。女性に多いのは、尿道が短く肛門近くに位置しているため。排便後にお尻を拭く際など、肛門周りにある大腸菌が尿道から入りやすいためです。
症状
排尿時の痛みや違和感、頻尿、濁った尿が主な症状です。そのほか、残尿感や血尿といった症状があらわれることもあります。
尿道炎
性交渉により淋病またはクラミジアに感染して発症します。淋病性尿道炎は性交渉から3日~1週間で、クラミジア性尿道炎は性交渉から1~2週間で発症するといわれています。パートナーが完治しておらず、再度感染が引き起こされる「ピンポン感染」の恐れもあります。
症状
女性の場合は感染してもほとんど症状がなく、気付かないことが多い病気です。ただし、尿道炎にかかることで、腹膜炎や不妊症を引き起こすケースがあるため、その際は合わせて婦人科の受診が必要です。
腎盂腎炎
腎臓の中にある尿が溜まる部分を腎盂(じんう)といい、その内部に細菌が増殖し、炎症が腎臓までおよんだものを腎盂腎炎と呼びます。尿道口から入った細菌は、通常排尿で体外に放出されますが、尿の流れを妨げる病気、免疫力を下げる病気などにより発症することがあります。また、尿道カテーテルなど細菌が付きやすいものがある場合も腎盂腎炎にかかる可能性があります。
症状
発熱、排尿時の痛みや違和感、頻尿、濁った尿、腰痛、背中の痛みが主な症状です。吐き気、寒気、全身倦怠感もあらわれます。お子さんや高齢者が重症化した場合、脱水症状による意識障害、細菌が全身に広がることで生死に関わる事態にもつながるため注意が必要です。